TranspAmore
2023.10.28 release
1. Prologo
2. Li antos ma nela
3. Lacrima
作詞 : Runa (Melefiele)
作曲・編曲・MIX: 永嶋 玲
イラスト : 彩野 ゆうき
▪️◽︎ Story ◽︎▪️
町の外れにある、今ではもう廃れてしまった小さな遊園地。
夜になると、誰もいない遊園地から、子どもたちの笑い声が聞こえるそうな...。
その噂を聞きつけた 1 人の少女。
明かりが灯されない楽園に迷い込むと、そこにはピエロがいた。
張り付けたような笑みに、
頬には涙のしるし。
ピエロに誘われ、少女は更に奥へと進んでいくのであった。
ピエロは少女をメリーゴーランドへ連れてゆく。
「しー...」
と人差し指を口元へ持ってゆくと、ある言葉を発した。
"Li antos ma nela"
すると、中心の柱から扉が現れ、少女を迎え入れるように開いた。 階段を下りてゆくと、そこには沢山の子どもたちで賑わうキラキラした、更に小さな遊園地があった。
ピエロは悲しんでいる子どもたちをここへ連れてきては、こうして匿い、癒していたのだ。
少女には表情がなかった。
口を開けて笑うことも、顔を真っ赤にして怒ることも、大声で泣くこともなかった。
キラキラした楽園へ訪れても、ただその場に佇んでいた。
ピエロは少女を何とかして笑わそうと、ふざけた顔をしたり、沢山の芸を披露したりした。
しかし、彼女は笑わない。
途方に暮れるピエロに少女は蚊の鳴くような声で、
「笑うと、馬鹿にしているって思わない...?」
と言った。
少女は自分が笑うことで誰かを傷つけてしまうのではないか、 また怒られてしまうのではないかと、自信を持てずにいた。
そんな少女をピエロはそっと抱きしめる。
全身に伝わる優しい温もりに、少女は初めて涙を流しながら笑ったのであった。
ふと目が覚める少女。 今まで見ていたのは夢だったのか、はたまた現実だったのか...。
ただ、感じた温もりだけは少女の中に残っていた。
ピエロに勇気をもらった少女は、ありのままの自分を探すために、 こっそりと家を抜け出し、1 人旅に出るのであった。